大阪府知事宛の申入れ
本日大阪府知事宛の申入れ書面です。
2021年4月14日
吉村 洋文 大阪府知事 殿
申 入 書
先般、政府が2年後をめどに福島第一原発に保管されている汚染水を福島で海洋放出を決定という流れを受けて、吉村洋文大阪府知事は、汚染水をわざわざ大阪湾に移送して放出することを知事として容認する考えを改めて明らかにしました。
菅政権が、「処理水」とする放射性汚染水を福島県で放出すると決定した直後に、吉村知事が汚染水の大阪湾での放射性汚染水の処理を「世界基準でも安全だ」と強調し「風評被害を福島だけに押しつけるのはあってはならない。電力を特に消費するエリアを含め全国で協力すべきだ」などと、汚染水の現況を知らずに発言したことに驚きを禁じえません。
また大阪府下で1099人もの新型コロナ新規感染者が出た非常事態の最中に、このような大阪府とは直接的な関係がなく、すぐに優先する必要もない事柄への積極的な政治判断表明を行う吉村知事に対して、大阪府民や大阪市民は、改めて大きな不信感を持つことになります。
一昨年の2019年9月にも大阪市の松井一郎市長が汚染水の放出に関して同様の考えを示しました。我々はまず松井市長に対し、「汚染水を放出しない」と明言し確約することを求めた申入れを当時直ちに行い、20,186筆の汚染水放出に反対する署名をこれまでに提出しております。
また、昨年秋に吉村府知事が同様の発言を行った直後にも、発言の撤回を求める申入れをしております。
政府が汚染水の海洋放出について国民から募ったパブリックコメントでは7割が反対しています。
また、日本政府が福島以外の海域で、福島第一原発由来の放射能汚染水を放出する考えを示したことも一度もありません。
にもかかわらず、こうした信じがたい発想による暴挙を行う考えをわざわざ示すということを、新型コロナ新規感染者が大阪府下で急増している時期に、吉村知事が示されていることに
、更に強い不信感と憤りを覚えております。
民意により否決として示された大阪都構想が、大阪万博推進や府市一元化の名をもとに「事実上の大阪都構想」として邁進している現況は、一元化したシステムが強固となっていると判断しています。このため、大阪湾放射能汚染水放出のような異様な政治判断についても、強引な手段で遂行しやすくなるだろうと我々は推察しております。
というよりも、大阪湾にわざわざ福島からの放射能汚染水を移動させて放出するような、一般の大阪府民に常識的には何一つメリットがないどころか、リスクをもたらす可能性のある政治的判断を遂行しやすくするために、大阪万博推進や府市一元化を吉村知事らが推進している疑いも強く持っております。本年3月26日に大阪市議会で可決成立し、同年4月1日に「都構想代案」の大阪府市一元化条例が施行後に、あえて吉村知事が発言したのですから、その疑いは濃厚です。許しがたい暴挙と思います。
放射能汚染の拡散は極力すべきではないとする基本的な考えからも、知事が発言している内容はまったく理解できません。
当然ながら、汚染水には処理で除去されないトリチウム以外の放射性物質が多々、含まれていますし、トリチウム自体も無害のものであると考えてはおりません。健康被害のリスクをまじめに考える場合に、こうした放射能汚染水をわざわざ大阪に移送し、それを湾内に放出するなどというのは、ありえない話です。
もちろん大阪湾は大阪だけのものではありません。近隣自治体、他県にも影響があり、こんなことは許される話ではありません。
また、大阪湾は閉鎖水系的性格が強く、汚染は湾内で長く滞留する可能性も否定できませんし、瀬戸内海などの内海へ汚染が広がる可能性は否定できません。むしろ外洋に放出するリスクよりも、限られた海域で影響は甚大となる可能性も考えられます。
大阪府知事は、今回も含めた一連の大阪湾汚染水放出発言を撤回し、現在の緊急事態であるコロナ対応に専念することを我々は求めます。緊急事態も踏まえず、関係ない話で異様な発言をしてマスコミの注目を集めることばかり考えずに、大阪府知事の職務にきちんと専念して下さい。今は大阪は大変な危機なのですから。
放射能拡散阻止委員会